Smile Decoder (DSdecR3)の制作に必要なノウハウをここに記載しています。
有志がはんだ付けの解説をしています。分かりやすいですので参照ください。
表面実装は、道具が命です。ケチると部品がどんどんダメになるので、最低限の必要な道具はきちんと用意しておきましょう。
※鉛フリーはんだは上級者向きなのでお勧めしません。開発者は鉛フリーはんだ環境にしてしまったので、効率が落ちて困っています・・・。
洗濯ばさみやクリップ、テープなどで固定しておくと作業しやすいです。引き半田が一番きれいで楽ですが、半田ごてが引き半田出来るタイプ(白光で言えば2C,3Cなど)じゃないとできません。フラックスを塗っておくと、引き半田が楽です。
予め、半田をちょっと塗っておいて、フラックスを塗布します。その後、ピンセットで置いてパターンに位置あわせします。かなり精度がいります。その後、半田付けします。
線路との接触不良に困っている方、電圧降下が心配な方向けに、Keep aliveコンデンサを接続できる端子が用意されています。CAPと書かれた端子で、+と書かれたピンが+側です。 ダイオード(1N4007)と100~470Ω(1/2W)を用意していただき、+側の配線に挿入することで安全にコンデンサを使用できます。
コンデンサの容量: 1000uF以上、耐圧16V以上であること。推奨は、2200uF以上、耐圧25V以上です。
メーカー | 型番 | 仕様 | 直径 | 長さ | URL | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
Panasonic | 4700μF50V 85℃ | 23mm | 35mm | url | サイズが大きくHOでも搭載は困難 | |
ケミコン | LXJ | 8200μF16V105℃ | 18mm | 40mm | url | 耐圧が最低限なので注意,容量が大きくkeep alive効果は絶大 |
ケミコン | LXJ | 2200μF35V105℃ | 16mm | 35mm | url | 容量的には問題なし。 |
ルビコン | PK | 1000μF25V85℃ | 10mm | 16mm | url | Nゲージ向きか |
仕様を見るポイントは以下の通りです。
温度:書いてある温度が高いほど、耐久性が良いです。熱くなりやすい環境で使っても劣化しにくいという意味になります。コンデンサは熱い環境だと劣化して性能が落ちる特性があるので、涼しい環境で使うことが望ましいです。
電圧:動作の限界の電圧値です。この電圧を少しでも超えると劣化して壊れるリスクがあります。産業用機器では、通常は耐圧を使用電圧の2倍以上をとります(安全率)。12Vで使うなら耐圧24V以上のもの、たとえば25Vや35V, 50Vなどを選びます。
時間:メーカーが保証する動作時間です。この時間が長いほど、耐久性に優れています。コンデンサは電子部品の中で一番寿命が短いので、この動作時間を目安に寿命設計するケースもあります。
原産国:寿命にセンシティブなコンデンサは日本製がベストです。チャレンジ精神に溢れる方は、中国製、台湾製などお選びください。
半田付けの難易度が高すぎるので、くだらないところで結構はまります。
ほぼ8割がたのトラブルが、接触不良・半田付けできていないことが原因です。上から見るとくっついて見えるが、微妙に浮いているのです。もう1割は他のピンとの短絡で、ルーペで観察すればすぐ分かるはずです。残りはその他で、最初からぶっ壊れていた・パターンやパッドを剥がしたり損傷した、半田ごて当てすぎで壊わしたというケースになるはずです。トラぶったときは基本は浮いていることを疑ってください。
一応、原因究明の手順を書いておきます。この通りにやれば、だいたいは見つかるはずです。 なお、コマンドステーションとデコーダの間は、テスト用にうまく配線を作ってください。
Arduino IDEを使ってブートローダと、描きたいスケッチを「書き込み装置経由で書き込む」のメニューを選択して書き込む。何度やってもうまく書けなければ、セラロックとATMEGA328P-AUの半田付けがうまくできていないか、部品を壊わしてしまっている。 なお、スマイルライターを使って書き込むと、必ず1回目はエラーになるので、もう一回同じ操作をして2回目以降もエラーが出続ける場合は、半田付け不良を疑ってください。
なお、中国から輸入できるATMEGA328Pの一部は、不良品の率が高いです(エラーで書き込めない)。安かろう悪かろう、安物買いの銭失いなので、実績のある秋月で購入することをおすすめします。
フジガヤさんのスケッチ(VVVFやメロディ)は、ライブラリを使用しています。ライブラリがないとコンパイルが通りませんので、ライブラリを追加しないといけません。
CAP端子をテスタで見る。電圧が12V程度(線路電圧が12Vの場合)出ていれば、ダイオード絡みは問題無しです。 逆に出ていない場合は、D2~D5のどこかがちゃんと半田付けできていません。もしくはショートしてます。(ショートしていれば、コマンドステーションが止まるはずですが)
スマイル端子横の+5VとGNDピンを当てて、5Vが出ていることを確認する。5Vが出ていなければ、IC3のレギュレータがちゃんと半田付けされてません。
DCC信号がうまく検出できない場合、裏面のR1,R2,D1の半田付けがうまくいっていないことが想定できます。
セラミックコンデンサの大容量(10uF以上)を2個以上、デコーダ基板上に付けると、突入電流によりコマンドステーションの保護機能が働いて動かないケースが有ります。セラミックコンデンサはほどほどにして、Keep aliveコンデンサの回路を併用しましょう。
ピンセットで浮いている部品を押し込んだまま、半田ごてを浮いているピンに押し当てて、半田付けしなおしてください。 なお、あまりにも浮いている場合は、いったん剥がしてリトライしたほうが良いかもしれません。もしくは、くっついている方をうまく調整してやるなどです。 半田付け修正前は、フラックスを塗るのを忘れずに。
耐圧だけ注意してください。耐圧が25V以上であればOKです。安くて容量の大きいものは耐圧が低いケースがほとんどです。絶対に耐圧の低いものは選ばないでください。故障の原因となります。 コンデンサの耐圧は、使用する電圧の約2倍を見ておくと良いでしょう。12-16v程度であれば、25v耐圧のコンデンサでOKです。 電圧の大きいGゲージに使われる場合は、50V品を選定してください。
洗浄不要のフラックスを使ってください。
秋月のφ10mmの透明な熱収縮チューブがぴったり入ります。組み込みが圧倒的にしやすくなりますので、購入されることをお勧めします。なお、Keep alive コンデンサを使う場合は、CAP端子部分は使用するときに切り抜いておく必要があります。
基板カッターなどで、はみ出ているスマイルコネクタ部をカットしても問題ありません。ただし、ソフトの書き込みが容易にできなくなるので、使い捨てを覚悟してカットしてください。
500uFを超えるようなコンデンサを使う場合は、充電抵抗を付けるべし。突入電流発生を抑制させましょう。 また、電解コンデンサではなく、セラミックコンデンサを大量に載せたアレイの場合は100uFといった小容量でも充電抵抗の回路が必須です。セラミックコンデンサは抵抗成分が電解コンデンサよりも小さく、電源投入時に空のコンデンサを充電するために流れる突入電流が凄まじいためです。
ポリウレタンの銅線の細いもの(0.29mm)がお勧めです。ハンダゴテで半田を付けて溶かすだけで、被覆剥きも不要です。
BEMF回路が無いため、重たい車両を動かすのに欠かせない電圧補償処理がうまく動きません。 大きめの電圧を与えるようにするしか手はないです・・・。
スマイルデコーダには、BEMF回路が入っていませんので、標準対応は難しいです。しかし、自分で以下の回路を組んでアナログ入力に入れれば、BEMFを実現できます。ソフトは現在のところ、自分で作るか、フジガヤ様の記事を参考にするしかありません・・・。
※スマイルデコーダR4以降(2015年末リリース)で対応予定です。
最高速度で長い時間走り続けると、ダイオードやモータドライバICが電流の影響で発熱します。ICの内部温度が100℃超になると安全機能が働いて止まる場合があります。たまに休ませるか、最高速度での連続運転は控えるか、車両に組み込む際に金属板などに固定してうまく冷やすように工夫しましょう。
なお、連続運転していないにも関わらず触れないレベルの場合は、内部の配線がショートしている可能性があります。特に、デコーダを迂回して流れる経路があると、デコーダを通じてショートした電流が流れますので、デコーダ(特にモータドライバ)が大きく発熱します。熱収縮チューブや、配線の加工にミスがないかをよく確認ください。
スピーカのインピーダンスが小さすぎて電流が流れすぎて発熱しています。スマイルデコーダとサウンドオプション(アンプ回路)の間に音量を落とすための分圧抵抗を挿入して下さい。調整が容易な可変抵抗が一番お勧めです。また、スマイルデコーダの出力はPWMですので、ローパスフィルタ回路(抵抗とコンデンサ)も忘れずに挿入して下さい。